おススメ度 ★★★★☆
「どうしたら、その先に行けるんだろう」
外国人に日本語を教えている先生が、日本語を流暢に使いこなす外国人へのインタビューをまとめた内容。日本に長く住み、日本語の勉強を続ければ、意思を伝えたり日常会話をするのに困難はなくなって行く。でも、その中には、自分を日本語を使って的確に表現出来る様になる人もいる。そんな人に、どんな努力をしたらその領域までたどり着いたか、またその領域に達するとどんな景色が見えるか、日本語を操る9人にインタビューした記録がまとめられている。
内容
「いいインタビューでした。」インタビューした2人目の孫さんから、原稿確認の際にそのような言葉が返ってきたと記載があるが、一番本書を現わしていると思う。
日本語を使いこなしている人に、著者がインタビューを行い、日本・日本語との出会いをはじめ、どの様に日本語を勉強したか(挫折や上手になったきっかけなど)、日本語にどのような思いがあるかなどを上手に引き出している。上手に引き出せるのは、著者が日本語教師として、日本語を教えることに何らかの壁にぶつかっていて、そのブレイクスルーを探しているからだと思う。
そして、毎回、何らかの疑問を見出して、次のインタビューにつなげている点も、深い内容となって、インタビューされる側にも感銘を与えている印象が読める。
毎回、やはり外から見た日本を感じ取ることが出来るので、日本再発見的な要素もある。まさに、本ブログのメインテーマ「へー」にもつながる一冊である。
語学を(正確には語学ではなくて話法?)極めるには、いろいろな方がいろいろな方法でアプローチしていることがわかる。
ところどころ、代表的な日本語で、日本語の授業でも教えるが、そんな日本語は使わないということが、取り上げられている。例えば「いいえ」。「はい」「いいえ」で、YesとNoなので、当然教科書には出てくるのだが、実際使う機会はないと指摘される。実際に使われるのは「いえ」とか、他の言葉で、「いいえ」は日常会話でも仕事の中でも使われる事がない。そう言われると、確かにそうだ。
いろいろな職業の方にインタビューされていて、その職業で活躍するのに、言葉のハンデを背負いながらどうやって来たかも記載されている。インタビューされた方の職業に興味がある方にも、大いに参考になると思う。
何より、前向きな方々が、努力を続けてこられたことが読み取れ、読んでいて力づけられる内容であった。本書は、日本語を学んでいて上達を目指している方、日本語のみならず語学で上達を目指している方、そして語学によらず何事かに上達を目指している方、また上達を支えている方、そして知的好奇心を満たしたい方など作成意図を超えて、多方面(多方向)から薦められる本だと思う。
目次(内容)
はじめに
第1章 「間違われて笑われるのは、むしろチャンス」 Kさん(韓国出身)
第2章 「本当はもっともっと深い話がしたい」 孫成順さん(中国出身)
第3章 「ひとり暮らしへの憧れが。日本語につながった」 イザベラ・ディオニシオさん(イタリア出身)
第4章 「私の日本語は基本、全部、想像」 マライ・メントラインさん(ドイツ出身)
第5章 「心に一番近い言葉をいつも探している」 ラウラ・コピロウさん(フィンランド出身)
第6章 「自分の日本語をチェックする『もうひとりの自分』」 アイエドゥン・エマヌエルさん(ベナン共和国出身)
第7章 「文法も語彙も、全部耳から」 工藤ディマさん(ウクライナ出身)
第8章 「一年かかけて読んだ稲森和夫さんの本」 ゴー・ティ・トゥー・タオさん(ベトナム出身)
第9章 「言語の可動域とアイデンティティ」 ティムラズ・レジャバさん(ジョージア出身)
コラム
日本語クイズ① 留学生には答えられて日本人には難しい問題
日本語クイズ② 「ありません」と「ないです」は同じ?
日本語クイズ③ 「~ばかり」と「~ところ」はどう違う?
日本語クイズ④ 描写としての「かたこと日本語」と助詞
おわりに
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関係外部リンク
北村浩子 – Wikipedia
K (歌手) – Wikipedia
孫成順 – Wikipedia
イザベラ・ディオニシオ – Wikipedia
ティムラズ・レジャバ – Wikipedia

