奪われた未来 日航123便墜落事件から40年、遺族としての結論 小田周二著 説得力読書感想

奪われた未来 日航123便墜落事件から40年、遺族としての結論 小田周二著 説得力 読書感想

 御巣鷹の尾根に墜落した日航123便の事故原因は隠蔽されている。国による事故調査報告書でまとめられた尻もち事故の不適切修理が発端の圧力隔壁損傷による事故原因は隠蔽工作の一環で、本当の墜落原因は自衛隊機の標的機衝突が発端で、全自衛隊が証拠隠滅のために協力し、操縦に支障をきたしていた日航123便の緊急着陸を阻止し、ミサイルによる撃墜を行った。そして、墜落直後から国を挙げて隠蔽を行うために、墜落した夜のうちに、マスコミや近隣住民の立ち入りを規制し、乗員乗客の生存者の殺害を行った。
 説得力のある内容。捉えようによっては、昔の香港の新聞なのだが(あることないこと書いて、相手の反論の中から事実を炙り出す)、そうは読めない。事故から40年かけて遺族が、ひとつひとつ事実を積み重ねて、長い道の末に辿り着いた恐るべき結論。

 1985年8月に発生した日航ジャンボ機123便の墜落事故のご遺族である著者が、事故調査報告書の内容や日本航空の対応に疑問を持ち、生存者の証言、目撃情報、関係者の聞取り、検察の不起訴(調査報告書の内容はひどい)などの積み重ねにより、真因を掴み、真の再発防止を行う事こそが亡き子供たちの供養になり、事故で死んでいったことへの意味を見出そうとして、纏め上げた本である。

 突然の事故に遭遇し我が子を失った親の悲しみ、その絶望した遺族の心に漬け込む詐欺集団との攻防、事故を今を生きる人類のために活かすことに意味を見出し、その活動と障壁・妨害が描かれている。
 集団は、遺族に補償金として和解を迫り、和解が成立すると見舞金と言い直す。事故の被害者をいつしか遭難者と言い換え、慰霊碑を建立する。その様子を著者は、自動車の事故の際に同乗者が運転手と偽り警察に出頭するようだと例える。憤りを感じえない。

 著者の著作(前著)「永遠に許さざる者」などと比べて、圧倒的に読みやすい。「永遠に許さざる者」が報告書や論文だとすれば、柔らかな解説書であり、同じ著者には思えないほどの読みやすさである。事故原因に迫る科学的根拠は、本書ではさらりとして記述にとどまっている。その報告で物足りない方は前著「永遠に許さざる者」をお勧めします。
 国家規模の事故に遭った時の対応書としても)、事故原因の究明ストーリーとしても、ご一読を勧めたい名著であると思う。

 末筆で大変申し訳ありませんが、事故に遭われ亡くなられた方々、巻き込まれた方々のご冥福をお祈りいたします。また、著者小田さんの奥様も亡くなられたとの事。本書の一文でしか知りえないのでたいへんおこがましいのですが、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

 恐らくは、エールフランス1611便墜落事件の様に、墜落から50年後に真相が語られたように、本書をきっかけとして、FDR、CVRの公開、相模湾の残骸引揚げなどが行われ、遺族・被害者が納得のいく調査と報告が行われることを切に願います。
 本記事でも、事故の風化を食い止める一助になれば幸いです。

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関係外部リンク
 日本航空123便墜落事故 – Wikipedia
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 日本航空123便の御巣鷹山墜落事故に係る航空事故調査報告書についての解説
  事故調査報告書へのリンク、およびその解説が貼付けされているページです。
  操縦輪やラダーペダルの動きは、報告書297~298頁 DFDR図-2 10.別添2~別添5(一部)
  エンジンの操作記録(出力記録)は、報告書の301~302頁で、DFDR図-4 です。 

 青山透子公式サイト 日航123便墜落の真相
 青山透子 – Wikipedia

 佐藤まさひさ – Official Site
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 佐藤正久 – Wikipedia

 赤城工業株式会社|アクチャル 03
 赤城工業株式会社|アクチャル 04
  救難ヘリの救助員の出動記録(回想)です。
 
 標的曳航機 – Wikipedia
 日航機墜落 事故調査官 100ページの手記に書かれていたこと|NHK事件記者取材note


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