日航123便墜落事件 隠された遺体 青山透子著 読書感想

隠された遺体 読書感想

おススメ度★★★☆☆

 1985年8月に起きたJAL123便の墜落事故に関する著作です。事故の風化とも戦われている著者 青山透子さんの著作です。
 青山透子さんの著作は、JAL123便関連の書籍の中ではたいへん読みやすい。のですが、本作は非常に読みづらく、おススメ度を落としました。
 前段がボイスレコーダー(以下VOR)の開示請求裁判の関連、中段前半が遺体安置所で検視に関連したボランティアから聞取り内容が中心の新事実(タイトルにされている「隠された遺体」)に関する記述。中段後半が2024年正月に起きた羽田航空機追突事故を発端に最近のJALの問題体質に迫ります。後段は裁判関連の資料です。お急ぎの方は、中段の隠された遺体から読み進めるのをお勧めします。
 本書は青山さんの前著をシリーズで読み込んでおかないと、全くわからない内容で、後述しますが青山さんが推定している事故原因(仮説)を理解していないと読み進められません。もうちょっと序章で触れて頂ければ読みやすくなるかと思います。

どんな本?

 日航(JAL)123便の事故原因究明・疑惑本です。著者の青山透子さんは、元日航の客室乗務員で、事故で仲間をなくし、事故原因を改めて調べてゆくうちに数々の疑問に遭遇し、事故調査委員会が調査した圧力隔壁損傷による事故原因に異を唱え、独自の事故原因を推定しています。
 本書では、主に3つの内容で構成され、
  (1)ボイスレコーダーの内容開示に関する裁判(序章・第一章)、
  (2)遺体安置所で検視に関連したボランティア看護師からの聴き取り内容と考察(第二章)、
  (3)JALの会社体質について(主に批判?・・・第三章)
 で、語られて行きます。

 特に、第二章では、
 ・多野総合病院の方々の追悼文集を読み、
 ・世間一般で知られていない事実が判明し、
 ・実際に立ち会われた看護師に聴き取りをすると云う内容
  ・高濱機長のご遺体は、新聞報道などでは炭化した顎だけが18日目に発見されたとなっているが、
   ボランティア看護師によると
   ・1日目にきれいな形で(何故か裸で)遺体安置所に運び込まれた。
   ・機長ですと警察の方から言われた。
   ・解剖するとのことで、清拭(せいしき)だけで、縫合等は行わなかった。
   ・黄色の客室用のマスクをつけていた。
   ・清拭後、運ばれていった。
と、新聞報道などとは大きく異なる内容であった。
 このことから、著者は事故原因を隠蔽しようとする何者かが、事故原因に関わった高濱機長の制服やご遺体を隠匿したと推理されて行きます・・・なぜならば、・・・っと本の中では、その証拠を上げて行きます。

この本を読むには

JAL123便事故の内容と、青山さんの事故原因仮説を理解しておく必要があります。簡単に触れておきます。簡単と言いながら、結構なボリュームになってしまいました。本書を一通り読んだけど何のことかわからず、再読する前の方には参考になるかと思います。

JAL123便事故とは

 1985年8月に起きた日本航空123便の墜落事故・事件とは、同年8月12日18時12分に羽田空港を離陸したボーイング747型機が、迷走して、群馬県山中に墜落した事故です。お盆の真っ最中だったこともあり、乗員乗客524名が登場しており、520名が犠牲となる大事故となりました。
 事故原因については、運輸省(現国交省の一部)の事故調査委員会で、調査され結論が出ています。詳しくはwiki運輸省(現国交省)事故調査報告書をご参照ください。
 あらましを書くと、大阪でしりもち事故を経験したJA8119号機(JAL123便の機体ナンバー(自動車でいうナンバープレートがJA8119))は、その修理にミスがあり、時間を経過して修理ミス部分が壊れ、上空の薄い空気で息苦しくないように与圧(圧縮)されている客室の空気が壊れた部分から後方へ(小さな穴が開いた風船のように)猛烈に吹き出し、この圧力(暴風)で垂直尾翼及び油圧系統のすべて破壊されて、操縦不能に陥って墜落したと云うものです。

この事故に関する疑問・疑惑とは

 JAL123便の事故については、大きく2つ疑問が持たれています。1つは事故原因で、もう1つは救出活動の著しい遅れです。(1985年という時代を注意深く念頭に置く必要があります。携帯電話やGPSは一般には普及していませんでした。スマホ・デジカメはおろか写メも開発前でした)

事故原因

生存者の証言と食い違い

 事故原因については、当時から生存者の証言と食い違うとして、話題になっていました・・・・尾翼を壊すほど空気が吸い出されたのだから、人が吸い出されて飛行機の外に飛び出てもおかしくなく、かなりの人が失神するほど空気が薄くなるはずだが、そのような生存者の証言もない。機内では写真が撮られたりしていた。客室は酸素マスクが飛び出して多くの人が装着したが、コクピットではこのような場合にいち早く酸素マスクを装着する訓練を受けている乗員が酸素マスクをつけていない。

目撃情報の不採用

 また、事故調査委員会が地上からの目撃情報を、不確定さから調査に採用していないことも指摘されています。F4ファントム戦闘機が事故機と前後して目撃されているのですが、公式にはF4戦闘機は飛んでおらず、謎となっています(正確には、事故直後にRF-4Eファントム偵察機が現場上空を飛行し位置を報告しています)。

海中に沈んだ尾翼の調査打ち切り

 吹き飛んだ垂直尾翼は、相模湾に沈んだと推定されているのですが、事故調査委員会が困難さから海中からの引き上げを早々あきらめていることも、疑念に輪をかけています。

米国の調査官

 事故原因調査には米国から調査官(事故調査スペシャリスト)が派遣され、いち早く圧力隔壁破損による垂直尾翼欠損仮説を提起されています。調査の結果により、この仮説が支持されて行くのですが、見方によっては誘導ではないか?との見方もあります。

ボイスレコーダー

 ボイスレコーダーは事故現場から回収され、事故調査委員会で解析され、文字起こしがされて、報告書に記載されています。
 この文字起こしが、中間報告と最終版ではやや違い、より正確に記載されているのか、手心が加わったのか、諸説あります。また、音声そのものが開示されていません。が、謎の漏洩があり、マスコミで流れております。このリーク内容が正確かはわかっていません。
 ボイスレコーダー本体は、運輸省(現国交省)では音声が開示されず、その後JALに返却されていますが、何故かJALは開示を拒むと云う不可解な事態となり、開示請求・裁判となっています(裁判は本書の主題の1つで、不開示で確定)。
 青山さんの読みによれば、国交省が開示請求を断り続けられなくなったところで、JALに返したから知らないと・・・っとの筋書きで、国交省・JAL共に隠し通しているとの読みです。

その他

 小生としては一番弱いのは、事故調査委員会が、地上から事故機を撮られた1枚の写真を限界まで引き延ばし、垂直尾翼の欠損が認められるとしているところです(が、誰も問題視していません・・・何故?)。銀板写真ですが、引き延ばし過ぎて、デジカメ画像で云うドット欠けが生じており、証拠採用としては無理がありそうですが、仮説と一致する唯一の重要な垂直尾翼欠損の証拠とされています。

救出活動の遅れ

 救出活動の遅れ、および墜落場所の特定が事故直後に二転三転したことについても、いろいろな指摘があります。

墜落場所が二転三転

 墜落場所は山深い群馬県と長野県(それと埼玉県)の群馬側なのですが、当初長野県側と報道されており、目撃情報も長野県側が多く、当初長野県側から多くアプローチされています。報道や地上からの救援隊も誤情報に右往左往する状態でした。当時は、GPSが民間では実用化されておらず、タカン等のアナログ電波計測でした。この計測方法をわかりやすく(不正確ですが)説明すると、ヘリから2つ以上の目印アンテナの方向を地図で線を引いてぶつかったところ・・・として位置を割り出している為、誤差が何キロもあり、群馬になったり長野になったりしました。

現場上空のヘリコプタ

 のちになって判明するのですが、墜落直後に在日米軍がいち早く駆け付け、上空から夜間救出活動を開始しようとしたところ、日本側から待ったがかかり、日本側に引き継いだとの事。ところが、引き継いだ日本側は、墜落位置を上空から把握するものの、正確な位置情報が報告できず、地上の救出隊を誘導しようとしても墜落地点は山深く、地上に道がなく、無線も地上と上空では直接通じないとの状況。不正確な位置情報が、地上の救出隊を右往左往させる結果にもなった。また、夜間にヘリコプターから救助員をおろす救出活動を試みるも現場付近に送電線などがあり危険な為に断念しています。
 当時の在日米軍は夜間の暗視スコープを搭載しており、自衛隊は暗視スコープがなくサーチライトで地上を部分的に照らして着陸場所を探すなど、装備の差がありました。
 墜落現場は、生存者の証言によれば事故直後はもっと生存者がいて、残骸の下敷きになりながらお互いに励ましあっていたということですので、在日米軍がそのまま救助活動を行っていれば、生存者はもっと多かったであろうというのが、多くの方の共通の見解です。

 なぜ、日本側が在日米軍の救助を断ったかが大きな謎となっております。

更に

 翌朝、現場に到着しても、積み荷にアイソトープ(放射性物質)があるとのことで近寄れないと云う状況まであり(のちに問題ないと解除)、まさに大混乱でした。

生存者の救出

 翌朝、現場に到着した救出隊は4名の生存者を発見し、ヘリコプタで搬送します。このヘリコプタが、現場位置の確認が不正確で、なかなか現場につかなかったと同乗した医師が証言しています。

官邸の対応

 今なら、大問題ですが、夏休みで中曽根首相が官邸におらず、指揮者不在で、状況把握などに問題が生じたのではないかと言われています。また、中曽根首相のその後の行動も、休暇に戻ったり(ゴルフなど)で、今では考えられない行動です。
 どこかのTV番組で佐々さんが証言しておりましたが、夏休みで官邸に主だった人が誰もいなかったということです(これに反省してか、今はいるようです)。

遺体の状態

 生存者もいらっしゃったのですが、真っ黒に焼けた遺体も多数あり、航空燃料はガソリンの様に燃えやすいのか?っと現場に立ち会った医師の疑問が上がっています。航空燃料(ジェット燃料)は灯油系で、火が付きにくいのですが、燃えない訳ではありません。

本の背景

 本書ではあまり語られていませんが、著者は事故調査委員会の事故原因について疑念を持ち、独自に調査を行い、独自の事故原因を推定されています。そして、事故調査に疑念を抱かせ、自説の重要な裏付けとなるのが、裁判で争われているボイスレコーダーの開示、その内容の確認なのです。

青山さんの事故原因仮説

 青山さんは、同僚をこの事故で亡くしており、独自に調査(目撃者や関係者から聞取り)を重ねていった結果、前著までに、おおむね次のような仮説を提唱されています(小生が拾い読みした内容です。不正確な点はすみません)
 青山さんの仮説は、森永卓郎さんの漫画によくまとまっています→小生の記事はこちら

 事故原因は、事故調査委員会が結論とした圧力隔壁の損傷を起因としたものではなく、自衛隊艦艇が訓練に使用した飛翔体が尾翼に衝突した事が主要因。元々、自衛隊は日常的に仮想敵として民間機を使用していた為、誤発射して本当に激突したのではないか?
 そして、F-4ファントム戦闘機が並走し、誘導したうえ、撃墜したのではないか?
 また、事故原因の隠蔽のため、墜落した日の夜間の間に、特殊部隊(地上の秘密部隊)を派遣し隠密裏に証拠隠滅(秘密兵器で飛行機や生存者まで燃やした)を謀っている。
 ボイスレコーダーには、F-4ファントム戦闘機との交信記録が残っているのではないか?このため、政府も政府に懐柔されたJALも開示を拒んでいるのではないか?
 また、海上自衛隊出身の機長は、何か事故原因を知っているのではないか? 

事故・事件の仮説に関して小生の意見

 青山さんが提唱される仮説は、にわかに信じがたく、いくつかの疑問もあります。
 一番は、本書では触れられていませんが、事故の夜に秘密部隊が証拠隠滅のために何もかも焼くのですが、飛行機の金属を溶かしていると主張されている点です。秘密部隊の秘密兵器なので、威力は計り知れないのですが、いわゆる火炎放射器で金属が溶けるか疑問です。実験はされて実証された様ですが・・・。飛行機にはゴムの部品もありますし・・・。

 本章で触れられている機長の謎ですが、マスクなどから、誰かとの取違ではないかと思います。そんな事が書いた本があったような気がするのですが、見つかっていません。

 オレンジ色の飛翔体に関しても、昔、何かの本に写真を引き伸ばしたらオレンジ色なので練習標的に違いないと書いた本があったと思います(すみません。どの本だったか失念)。以前の本は、確か著者の引き延ばしで、青山さんはちゃんとした研究機関での引き延ばしとの事。違いはありますが・・・。衝突させるのも非常に困難かと・・・。練習標的だと、誰かがぶつけるまで遠隔操縦する必要がありますし、ミサイルだとホーミング形式(レーダー/熱/その他)と信管の種類等々の組み合わせが難しそうです。素人の考えなので、間違ってたらすみません。そんなことを考えながら、本書を読み進めました。

でも、ボイスレコーダーは、専門家や希望する遺族に開示してもよいのでは?

 著者の青山さんは、JALへボイスレコーダーの開示請求を行っており、断られております。

 内容が内容(死を目前にした方々の音声)なので、一般全般への開示は配慮が必要かもしれませんが、専門家など開示の条件を設けて開示してもよいかと思います。
 特に、調査報告書でも中間報告と最終版などではボイスレコーダーを書き起こしした内容が一部変わっているようです(たしか加藤寛一郎さんの本に記載がありました)。今の技術ならもっと鮮明に書き起こせるに違いありません。
 今のところ、JALの回答は公的調査機関へは開示するようですので、公的調査機関を立ち上げて現在の技術で内容を確認するなど、広くアイデアを募集して、あの手この手で開示を(青山さんに)実現して欲しいと陰ながら期待するものです。 

いかがでしょうか?

 本書の読書感想から、背景を説明するために、本記事の後段は読書感想から大きく離れてしまいました。後日、背景説明だけ分離記事にしてもよいかと思います。
 本書を読み進めてよくわからなかった方の参考になれば幸いです。

 最後で大変恐縮ですが、本件に関わり犠牲になられた方のご冥福をお祈り申し上げます。

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関係外部リンク
 日本航空123便墜落事故 – Wikipedia
  関係するリンクも多数あります。
 日本航空123便の御巣鷹山墜落事故に係る航空事故調査報告書についての解説
   事故調査報告書へのリンク、およびその解説が貼付けされているページです。
 青山透子公式サイト 日航123便墜落の真相
 青山透子 – Wikipedia

 赤城工業株式会社|アクチャル 03
 赤城工業株式会社|アクチャル 04
  救難ヘリの救助員の出動記録(回想)です。

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