おススメ度★★★★☆
おススメ度★★★★★(世界のカラスの一端を知りたい方)
ゴミを食い散らかし、まき散らすカラス。急いでる朝に限って、ゴミ置き場が食い散らかされ、そのままゴミを置く訳にもいかず、時計を見ながらゴミ置き場の片付けをすると、近くの電線から様子をうかがっていたりするカラス。腹立たしいことこの上ない。
そんなカラスの生態を研究している名物研究者が、旅行をするとどうなるか?
著者の松原始さんは、カラスの著書(カラスの教科書など)では有名な方だが、本書はカラスの生態の解説本と言うより、松原さんの生態の解説に重きを置いたような構成。もちろん、旅先にいる現地カラスの実情や、観察方法のテクニックなども紹介されている。松原さんの文書は、どこかコミカルで笑いを伴うのだが、本書も惜しみなく松原節が効いている。
内容
一応、三章構成になっており、調査のためのカラス旅/学会もまた旅である/カラス旅での出会い、に分かれているが、いずれもドタバタ劇?
調査のためのカラス旅では、都会でよく見かけるハシブトガラス(ぴょんぴょん跳ねない方)だが、本来は森に住んでいる筈の種類(都会にいるのは日本特異らしい)なのだが、日本では都会の生態研究がされ、世界でも研究室で研究されており、本来の生態域である森の中ではどのような生活を送っているかわかっていない(らしい)。そこで、仲の良い同僚?と共に、大学の演習林や、人里離れた山林を、時にがけ崩れの道を落ちそうになりながら、時に雪の中を凍った道路で突き進む。時々に、その場で役立つ蘊蓄を蓄えながら(雪道のわだちが黒ければ先行車が通ってから時間が経ってないので(先行車と同じ性能の車なら)通り抜けらる等々)、森の中のカラスを調査して行く。そして、分布の法則性を見出して行く。
学会もまた旅であるでは、全国各地で行われる学会発表などに出張した際に、その付近のカラスを観察すべく、カラスが上空から落としてクルミを割ると聞いては見に行き、カラスが車を使ってクルミを割ると聞けば見に行き、実際に目撃する。ブタペストの国際会議に出張すれば、会議の合間を縫ってコクマルガラスを探しに行く。ウィーンでもカラスを探しに行きオオカミと遭遇したりする。
第三章カラス旅での出会いでは、知床にワタリガラスを見に行き独特の鳴き声に感銘を受け、世界中のハシブトガラスを確認しようとマレーシアでハシブトガラスを見に行き、同行者からあんなのハシブトじゃないと言われつつ、松原さんはやっぱりハシブトっぽいなと感じていると、後日学会で別種に分類されるという二転三転。その後、仕事の用事でスウェーデンに行ってニシコクマルガラスとズキンガラスに考えを巡らせる。
・・・・っと、カラスを中心にピックアップしたが、本書の半分は現地事情や現地での人との出会い、名物料理に舌鼓を打ったり・・・である。調査には欠かせない山岳装備や、忘れ物をした時の対応など・・・名古屋では喫茶マウンテンへの登頂に成功している。簡単なへき地?旅行のガイドブックにもなっている。
読書感想
珍道中の旅行記の体裁をとっていて、読んでいて楽しい。大変なことを楽しく書ける文才があるのか、はたまた、ただ楽しい人が無茶ぶりをありのままに語っているか・・・・。
小生、知的生命体?に興味があって、サル、イルカ、カラス、ヨウムなどの生態本を(まれに)読んでいます。松原本はこの中でも異色の楽しさで、ぶっちゃけ本でもあり、体当たり本でもあります。悩みも綴られますが行動を伴っていることは偉いなーと感心して読んでいます。
本書から脱線しますが、日本は上記にあげた知的生命体(ヨウムを除く)が昔から身近にいるので、特にサルが身近にいたので進化論に抵抗が少ないと言われています。そして、特にカラスは古今東西(日本の中ですが)、我々の身近にいて、敵対をしているけどどこか憎めない象徴です(ゴンべがたねまきゃ、カラスがつつく・・・は笑いごとですが死活問題です)。サルと並んで知恵比べの象徴で、現在でも自治会の悩みごとの上位にいます。小生のところも、ゴミ集積所を増やしたのですが、カラスが見えないという噂の黄色い網をかけていますが、隙間があると(鳥なので羽に何かが触るのを嫌がる筈ですが)突っついたり、たぶん潜り込んで引きずり出したりしています。中身を食べたいのもあると思いますが、好奇心で中から引っ張り出すのが楽しいのではないかとも思っています。おむつを好んで引きずり出していた時は本当に困りました。また、先日は間合いを取るカラスに狙われて、ちょっと離れたところの塀の上で逃げずにゴミ出しが終わるのを待っているのです。小生は他のカラス同様に追っかけ回す(電柱を蹴飛ばしてます)のですが、そいつは小生に時間がないことを知っているのか間合いを取って待っています(しばらくしたら、縄張り争いに負けたらしく、いなくなってちょっと寂しい)。
本書は(残念ながら)この様な悩みを解決するヒントはありません。カラス愛に満ち溢れた著者や仲間が、自然に暮らすカラスの実態や日本以外でのカラスの生態を解き明かすべく立ち上がり、突き進むコメディ・・・いや、ノンフィクション旅行記です。
でも、できれば、カラス博士に、カラスとの付き合い方を、どこかでまとめて書いていただければ嬉しいのですが・・・・たぶん、ゴミ置き場にカラス用の餌を置いても、ゴミあさりすると思いますので・・・貯食なんかも、やられると困る。屋根がにゴミだらけ・・・なんかいい方法ないですかね。
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関係外部リンク
松原始 東京大学総合研究博物館
喫茶マウンテン公式Blog
喫茶マウンテン – Wikipedia

