列島縦断 日本の墓 失われゆく墓石を訪ねる 関根達人著 読書感想

列島縦断 日本の墓 失われゆく墓石を訪ねる 関根達人著 読書感想

 お墓の写真集。でも、半分くらいは解説文が記載されている。
 日本全国、北は北方領土から南は沖縄までの墓石、および墓石の遺跡(廃棄・再利用された墓石など含む)網羅されている。
 墓石に伴う文化、埋葬の方法や埋葬の歴史を、鎌倉時代に書かれた国宝「餓鬼草紙」の絵や、江戸時代の七墓参りなどの娯楽から読み解いていく。
 

目次

 はじめに 「お墓の写真集」の意図するところ
プロローグ お墓を訪ね歩く人と失われて行く墓石

墓と墓石の歴史
 墓石の誕生とその背景
 屋敷墓の展開と鎌倉のやぐら
 石塔と板碑の拡散
 納骨霊場と納骨堂
 石塔の小型化・碑への転化と普及
江戸の墓
 「墓石時代」の到来
 英霊と軍人墓地の出現
 コラム1 カラフルな墓石
両墓制とは 埋め墓と語り墓
 定義をめぐって
 背景にあるもの
 コラム2 討ち死にした武士のお墓
多様な近世大名墓
 参勤交代が生んだ本葬と分霊
 大名墓の「博覧会場」
 大名墓の誕生と変遷
 多様な大名墓
 コラム3 忘れられた大名墓
個性的な江戸時代の墓石
 供養塔からの変化
 細川忠興夫妻の墓
 細川家の石燈籠墓
 風変わりな墓石
 コラム4 陶工の甕墓
北の墓
 アイヌの墓と遺骨問題
 蝦夷地にある和人の墓石
 コラム5 佐渡の無宿人の墓
南の墓
 風葬と洗骨・再葬
 奄美諸島群の古墓
 久米島と先島諸島の古墓
 コラム6 洗骨された薩摩武士
あとがき

大まかな内容

 最初の方で、12世紀後半「餓鬼草紙」には、当時のいろいろな埋葬が描かれており、墓石の有無、土葬・火葬・遺棄葬(つまり埋めないで土に横たえる)などの分類をすることが出来る。そして墓石の種類、埋葬場所の土の盛り方などを分類・解説して行く。
 江戸時代の七墓参りは、現在の墓マイラー(有名人や偉人のお墓をめぐる人たち)の先駆けとして触れられている。

 著者は、墓や埋葬の分布を大きく3種に分け、本州・九州・四国を中心とした和人、北海道や北方領土などのアイヌ人、そして奄美・沖縄地方の埋葬方法やお墓についても記している。
 簡単に記すと、和人は、土葬(座葬など)と火葬、アイヌ人は伸展葬(寝かす)、奄美沖縄は風葬(や土葬)・洗骨して二次葬(納骨など)するそうである。

感想

 小生、沖縄の大きなお墓で親戚が集まって宴会を開くのをTVで見たことがある。何か、このうれしい集まりに羨ましさを感じたものである。自分自身を振り返ると、法事に追われたり、盆や正月の渋滞の中を縫って墓参りに行ったりと、何か義務を果たすような感覚に追われて、まわりのお墓に迷惑が及ばぬように草むしりをして、お盆に殺生厳禁と注意されたりして、何か苦痛というか疲れるのであった。
 沖縄のお墓については、TVを興味深く見ていたので知った気になっていたが、この本を読んで風葬を行うとは初めて知った。

 また、先般記事にもしたが、日本国内のムスリム(イスラム教徒)の土葬が出来ない問題に端を発し、日本は火葬だ!などとの言論が飛び交う中、ウチのカミさん家はつい先日まで土葬だったのでウチのカミさんが激怒していたことなどを綴ったが、本書で、やはり最近まで土葬がかなりの比率で行われていることがわかると共に、なぜだかわからないが江戸時代に人口が爆発すると火葬より土葬が普及したなどの不思議を知ることが出来た・・・歴史は繰り返すなので、日さ本の人口が増加に転じたら土葬が増える???

 本書の内容からは大きく外れるが、先般読み返した立花隆氏であるが、自然葬と言うかエコ葬にこだわりがあったようである。実際のところどうなったかまでは知る由もないが・・・。立花氏は、たしか臨死体験の著作で旧ソ連の臓器バンクというか人体バンクにかなり興味があったようである。旧ソ連は、科学思想が徹底され(と言うか宗教観が否定?され)、アイバンクなどは言うに及ばず、骨や皮に至るまでバンクされ、移植や治療に使われるとの事である。

 お盆の時期で、墓じまいなどの話題が取り上げられている。今日もTVで玉川徹さんが自分はどう考えるか力説していた。まあ、私の含めて、お墓には何か「象の鎖」が巻かれていて雁字搦めなような気がする(そこに悪徳業者、はたまた悪い占い師までかんだりする)が、本書などに紹介される新旧のお墓を見ながら、自分の鎖の先はどこかにつながっているか等を確かめても良いのではないだろうか?

 お盆である。ご先祖様が山の上から帰ってきて、家族や親せきが集まって、沖縄に倣ってワイワイやるのも良いのではないかと思う今日この頃である。あまりに居心地が良すぎてご先祖様がお帰りにならない時は、三国志演義の関羽の霊が敵を追い散らした話の報告を聞いた劉備玄徳が喜ばず、逆に涙を流しながら、あの世はいいところだというのに自分の不徳のせいで関羽がこの世にとどまっていると嘆く話などを思い出しながら・・・ぜんぜん関係ないですね・・・小生、地縛霊や廃墟霊などの話を聞くといつもこの話を思い出すのです。

関係リンク

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 火葬場で驚いたこと
 NHK 100分de名著|キューブラー・ロス「死ぬ瞬間」・・・ちょっと物足りなかった

関係外部リンク
 研究者詳細 – 関根 達人 ・・・ 弘前大学のポータルサイト
 
 墓 – Wikipedia
  沖縄のお墓
 餓鬼草紙 – Wikipedia
 カジポン・マルコ・残月 – Wikipedia
  墓マイラー
 

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