DIPSを振り返る・・・DIPSの概要。仕事が回らない/生産性が低いとお悩みのあなたに

DIPS HIROEN ゴール明示 マックスⅡ Task Break Down DIPS

 ビジネス用語シリーズ:仕事を進めて行く上で、何気なく使っている言葉や、誰かに聞きたいが聞けない用語などを、できるだけ簡単にやさしく、小生の経験も踏まえて説明してまいります。あなたのビジネス力向上に寄与するシリーズです。シリーズの関連用語は、上部の「ビジネス用語」カテゴリーをご参照ください。

 今回は、DIPSの概要です。かつての日本にはDIPSがあった・・・・。
 皆さん、仕事がうまく回らない。なんか効率が悪い。どう見ても生産性が低い・・・っと、お悩みではないでしょうか?
 DIPSとは、90年代に日本LCA社の小林忠嗣(ただし)氏がまとめた知的生産の生産性向上ノウハウ集・・・優秀な人材のノウハウのみならず、普通の人へどう適用して行くかを考え、更に組織でノウハウを回して全体の生産性を向上させることを目論んだシステムです。ダジャレの様な標語がオンパレードですが、今でも使われているのはHIROENでしょうか?
 仕事がうまく回らず本当に何とかしたい!生産性を何とかして上げたい!!そんな方へのヒントになると考えています。

DIPS概要

 DIPSとは、ダブルIPシステム(2つのIPは、①知的労働に従事する人たち Intellectual People②生産性を向上させる Increasing Productivityの略)の略です。
 ざっくり言うと、会社のピンチを救った腕利きマネージャーの手法(上手な仕事の受け方伝授と、集中時間帯の目標設定と解放の原則)と、知的生産性を阻害する要因分析とその対策から構成されます。
 本記事では、DIPSの最初の書籍「知的生産性向上システムDIPS ディップス」の簡単な概要紹介(アウト・ラインをなぞる)にとどめ、詳細は別の機会に譲ります。

仕事の受け方

 まずは、無駄なことはしない為の仕事の受け方です。
 そして、自分が効率よく、そして依頼主の意図に合うように、期限などを誘導します。

 事例がいくつか紹介されていて、
 まずは、会議後に、ホワイト・ボードの議事コピー送付を依頼された際に、そのまま送ればよいか?清書して送る必要があるか?依頼者にその場で尋ねるというもの。単純にコピーを添付して送付すれば良いのであれば、清書するより何倍も楽です。清書するにも、どのくらいかベタ打ちでよいのか?きちんとしたフォーマットに記入するか等、指示されたその場で聞けば、相手はすぐ答えてくれるというもの。社内なら指示者が注意しなけばならないポイントでもありますが、依頼者がお客様の場合は、依頼されたタイミングを逃す手はありません。後から聞くと、相手からの回答に時間がかかってしまい、最大公約数できちんとした清書をして送付した挙句、単純なコピーでよかったのに・・・っと、がっくりする一言まで頂戴する羽目に・・・。

 2つ目も依頼者に依頼時にすぐ尋ねるというノウハウですが、依頼の意図や背景を尋ねるというものです。LCA社は調査会社ですから、お客様から「XXについて調べてほしい」と依頼を受けますが、その際に調査目的や意図をちょっと尋ねるというもの。例えば、実はXXと言うのは代表格としていっただけで、その分野の兆候を調べたいんだ・・・と、言うことが聞ければ、「実は当社で同分野の○○について調べたレポートがありますが、これをご一読されては?」っという提案ができ、お客様がそれ十分ならば、調査の手間が省けるというものです。

 3つ目は、仕事を受けたら、まず簡単にでも、その場で仕事をブレークダウンして各要素を洗い出し、スケジューリングして関係部署への依頼をしてしまうものです。もし、依頼期限に間に合わなければ、すぐ依頼者へ相談を入れます。いつなら依頼の100%ができるが、依頼期限では80%しか調査ができない・・・っと、相談します。また、自分が立て込んでいるときは、いついつまで待ってもらえば、120%の回答が準備できるので・・・っと、自分の都合に合わせて依頼者を誘導してみます。依頼直後なら、80%でいいので、とか、何日まで待つよ・・・っと、快く回答してもらえますが、これが依頼期限近くになって100%できないことが判明し、80%でいいですかでは依頼者は怒りだしてしまうでしょう。

 こんなちょっとした依頼の受け方のコツを会社全体で行えば、ただ依頼を受けていた時より何倍も生産効率がアップするでしょう。
 これらの、腕利きマネージャーが皆に共有化した、ちょっとしたコツは、ゴール明示(本当に達成すべきもの)にもつながっていて、かなり本質的なコツになります。そして、ブレークダウンにもノウハウがあり、更にこれがまだ能力が低い新人部下への手厚い能率アップにつながります。

上手な仕事の受け方は、「5つのPの定理」の活用で・・・
 了解のP(プライオリティ)、節約のP、時刻のPと埋め込みのP、価値のP

集中と解放!集中するためのノウハウ・・・MAXⅡ

 腕利きマネージャーのノウハウは、まだ続きます。

 どうしても、レポートのリニューアル作業が必要になり、社長はチームを作り、2週間でのリニューアル作業を命じます。指示した社長も2週間では無理だろう・・・と、考えていたのですが、腕利きマネージャーは3日間で作業を完了させます。社長もびっくりです。社長が腕利きマネージャーに、どうやってやったのか聞くとMAXⅡ(マックスⅡ)という知的生産性向上のセオリーを用いて社内で合宿したと教えてもらうのです。

 MAXⅡの原則とは
・人間の集中力は、おおむね2時間程度しか続かない。
・このため、仕事は2時間で区切って、完了未了に関わらず、休憩を入れ、解放する。
・仕事を最初から2時間単位で設定し、2時間ごとに完了の達成感を味わう。・・・様に設定する。
・この2時間は、集中時間として、設定した仕事以外の飛び込み案件が無い様に工夫しておく。

 言い直すと、集中力の続く2時間は予定した業務のみを実行し、2時間ごとに達成感と解放感を味わい、リフレッシュして次の2時間に臨む。・・・このようにして、集中力を継続して業務に取り組めば、生産性が高い状態を継続でき、仕事の達成感・・・よろこびを得ながら業務を遂行して行くことが出来、生産性の高い状態が継続できる・・・っと云うものです。

何故、知的生産性が向上しないか・・・阻害要因

阻害要因として、次の8点を挙げています。

1.自分のスケジュールを乱す客と上司

 誰もが経験するであろう仕事の効率が良かった日と悪かった日。高い目標を掲げて業務に取り込んでいるのに、なぜそのような差が発生するか?それには、顧客や上司の割り込みが大きくかかわっていると分析します。「チョット、XXさん・・・」です。

2.雑用優先の法則

 TQCサークルでの調査の結果、知的作業の生産性は、何らかの雑用により中断が多いと極端に低くなる・・・っと云う事だった。「ちょっと相談に乗ってよ」などは後に回すことが出来ない案件です。これを雑用優先の法則と名付けました。

3.上司の下手な仕事の与え方

 あまり有能でない上司の仕えた経験を持っている方なら我が意を得たりですが、
 ①指示内容が明確でない
 ②上司の上司と指示内容が食い違っている
 ③一度指示されたが、次のミーティングなどで依然と異な方針を指示
等々・・・これらは、上司が指示内容の完成イメージを鮮明には持っていないことが原因と分析します。

4.未熟で無能な部下

 未熟で、能力不足の部下を与えられ、かつ頭数に見合うだけの仕事を期待されることほどつらいことはない・・・です。
 優秀で才能豊かな上司ほど、凡庸で無能な人間の悩みが理解できず、何がわからないかもわからない状態になり、部下に仕事を任せられず自分で片付け(猛烈な生産性の低下)、部下は育たない悪循環に陥る。

5.くだらない多くの会議

 何でこんなくだらない会議に参加しなければならないのか・・・誰もが思う瞬間があると思いますが、「まあ、会議というものはそういうものだから・・・」っと物わかりの良さを示していてはまずいと警告します。

6.根回しの必要な組織と根回し下手

 根回しは、得意な人にとっては大変生産性向上に寄与するが得意な人は少ないし、根回し活動は組織としては生産性に寄与するが、個人としては面倒なだけ・・・っと云うジレンマも存在する(だから不得意の人はやりたがらないが、組織の生産性が低下する)。

7.自分の業務遂行能力不足

 読んで字の通り。ただ、上記とは次元の異なる種類のもの。

8.やる気をなくさせるつまらない仕事

 知的作業は工場作業などに比べてモチベーションが高い仕事だと信じられているが、単純な繰り返し作業など、つまらない仕事も多い。そして、ルーチンワークはベテランほどいつものやり方が生産性が高いと錯覚しており信じて疑わないので改善もしない。つまらない繰り返しに、うんざりしているのに「どうしても」などのキーワードで現状に不満を持ちつつ現状に流されてしまっている。 

何故、知的生産性が向上しないか・・・対策

 阻害要因に対して、次のような対策を打ち出します。

防衛の30行動

 雑用優先の法則などへの対処方法です。
 あらかじめ、防衛のサンマル行動と名付ける時間帯を設定し、その時間の中で計画的に効率よく雑用を処理し、仕事に集中できるようにしよう・・・と云うものです。

緊急性分解理論

 防衛の30行動によって雑用が計画的に処理できるようになれば、すべてがスケジュール通りになる・・・訳ではなく、突発的な業務に襲われることがどうしてもある。そんな緊急事態に対応するためのノウハウを追加する必要が生じた。
 緊急事態も、その緊急性を分解して行くと、日常業務と何ら変わりない業務に変化してしまう。

思慮の砲台、金次第。ならぬならやめるべし

 緊急性を分解するための視点。「質」「量」「納期」「方法」の検討、「代替」「金銭的解決」の模索です。これらの語呂合わせで「思慮の砲台、金次第」と覚えます。
 また、

ゴール明示の原則と披露宴の視点

・業務をブレークダウンする単位は、ブレイクダウンされた個々の業務の到達すべきゴールが明確になる程度にとどめる。
・業務のブレイクダウンを行うときのポイントは、そのブレイクダウンによってどんな行動(ACTION)を起こさなければいけないかが明確になるもの・・・です。
・どのような業務をブレイクダウンすればよいかを視点をまとめたものが披露宴の視点
 H Hear 聞く事はないか?
 I Inform 伝える事はないか?
 R Request 頼む事はないか?
 O Operate 作業する事はないか?
 E Examine 検討する事はないか?
 N Negotiate 交渉する事はないか?

仕事の能率を飛躍的に高めるマックスⅡの原則

 マックスⅡは、上述「集中と解放!・・・」をご参照ください。
 会議なども、マックスⅡのなかで実行と決めてしまえば(最大で2時間)、その中で工夫もう生じるものです。

根回し上手になるターゲット明示の原則

  根回しが重要であることは、すでに述べた。どうやってやるか/ポイントについて
 ・根回しの成否を決めるカギは、誰をターゲットに選ぶか?→ターゲット明示の原則
  ・ただし、根回し活動は、その進展に合わせて常に新しく設計し直さなければならない。
  ・影のキーパーソンを見逃さない。 

根回しの優先順位を決定するTEMの原則

 根回し(説得)の優先順位は、慎重に検討しなければならない。
  TEMの視点
 T Trade Off 一方が賛成すれば他方が反対する案件。
        どちらかに折り合いが必要だが「難易度が低い方」を優先する。
 E Everyone 全員を説得しなければならない案件(全員賛成が必要など)
        1人でも反対がでれば徒労に終わるので「難易度が高い方」が優先。
 M Mix    TとEが混じった案件。正解はないので状況に応じて判断するしかない。

 「根回し案件が、自分の信念と合致しており納得のいくものになっているか」この条件が満たされていないと、途中で自信喪失・逆根回しにさらされる。このため、
 「押し切ってしまう覚悟」「押し切るための事前準備」が出来ているかを十分に満たしてから根回し活動に取り組むべき。

説得力を高めるためのHARPの手法と6つの視点

HARPの手法とは、説得の流れを示します。
 H Hurdle(ハードル) 障害となっているものを見極める
 A Action(行動)   ハードルを乗り越える行動
 R Reaction      相手の反応を見極める。NoならActionを再検討。
 P Push        最後の詰め、押し切れ

「最新メリットで立場が反流したら押し切れ」
・説得ポイント(視点)の6つの語呂合わせです。
・最新とは、まだ伝えていない最新情報
・メリットとは説得対象のメリット・デメリット
・立場とは、相手の立場
・反とは、反対者
・流とは、世の中の動きなど「流れ」
・押し切れとは、文字通り押し切る事

ターゲット明示、TEMの視点なども含め、これらのノウハウを空気のように使えるないと「根回し上手」になれない。

自己変革を促進する創造の30行動

 自分の業務遂行能力不足に対する対策で、1日のうち30分だけは、自分に不足している能力を向上させるための時間を業務に組み込もうと云うものです。毎日30分を向上に割こうという決意が重要。また、1か月程度で成果が見えるような設計も重要と説く。

その他

 小林 忠嗣著 「知的生産性向上システム - DIPS」のアウトラインをなぞってみました。
 いかがでしょうか?

 本書には、この他にもたくさんのノウハウが、ダジャレ?語呂合わせと共に解説されています。KISSのWA、BBCとNHKで雑用をSPAっと解決しよう、緊急事態を未然に防ぐCOMPA(コンパ)の視点・・・・、
 そして、これらのノウハウを組織として活用して行くためのグループウェアとして、TBシート(タスク・ブレークダウン・シート)に代表されるDIPSノートの各シート群などが紹介されています。DIPSノートは、90年代当時でしたので、紙ベースで、システム・ノート化されていましたが、のちにはDIPS WAREとして、コンピュータ・システム化された様です。
 日本LCA社のホームページが健在だったことは、DIPSノートの各シートがダウンロードできたのですが、残念です。

 これらのたくさんの標語も、少しづつ風化というか体内に消化され、いろいろなシステム・しくみの中に組み込まれている気がします。
 いまでも、活きづいているのはHIROENの視点でしょうか?何かを始める際/業務を受領した際に、やることを抽出する際のノウハウとして、解説されている方も多いようです。

 本書は手に入らなくなっておりますので、少し中身がわかるようにご紹介致しました。本当のノウハウは、本書を手に取って頂かないとわからないと思いますが、日々苦しんでいる方へのヒントになると思い概要を紹介させて頂きました。

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