チャレンジと成功への近道 世界「失敗」製品図鑑 荒木博行 著 読書感想

世界失敗製品図鑑 チャレンジに失敗はつきもの。失敗は成功の母 読書感想

 おススメ度★★★★☆
 まずは、目次を見るだけで、同時代に生きた方はニヤッとしてしまうのでは無いでしょうか?
 副題は「攻めた失敗20例でわかる成功への近道」です。

 数々の大失敗製品を取り上げ、失敗までの経緯を分析し、そして該当企業のその後とのつながりを考察して行きます。ほどんどは、失敗を自分たちで分析し、時に素早く・時に時期を待ってヒット商品へとつなげて行きます。
 仕事で行き詰まり感がある方、頑張っているけどうまく行かない方、そして時にバカ話が聴きたくなった方・・・などにおススメの一冊です。
 誰でも失敗はあります。失敗をどう活かすか、失敗直後は心が回りませんが、それでも糧にしたい方に参考書になると思います。

目次

はじめに
事業の構造編
「ユーザー視点」を学ぶ
01 アマゾン ファイアフォン 自社が描いた将来像を重視しすぎて失敗
02 フォード エドセル 社内的な正しさを追求して失敗
03 コカ・コーラ ニュー・コーク 適切なコミュニケーションできず失敗
04 フェイスブック フェイスブック・ホーム 無謀なチャレンジを仕掛けて失敗
05 グーグル グーグルプラス 企業側の戦略を優先して失敗
06 ファースト・リテイリング スキップ 「プロダクトのレンズ」を外せず失敗

「競争のルール」を学ぶ
07 マイクロソフト ウィンドウズフォン 初期段階の出遅れを挽回できず失敗
08 任天堂 WiiU  理想を追求しすぎて仲間を作れず失敗
09 NTTドコモ NOTTV 成功体験にとらわれて失敗
10 ナイキ ゴルフ用品事業 強みを活かせない隣接市場に参入して失敗
11 東芝 HD DVD 最初のシナリオを修正できず失敗
12 セガ・エンターテインメント ドリームキャスト 構想に対する実行力が作れず失敗

「社内不全」を学ぶ
13 セブンイレブンジャパン セブンペイ 「自社だけが特別」思考に陥って失敗
14 ソニー AIBO 経営陣の事業尺度に合わず失敗
15 ネットフリックス クイックスター 反対意見が言いにくい空気に気付けず失敗

事業を取り巻く力学編
「大きな力学」を学ぶ
16 サムスングループ サムスン自動車 経済危機に見舞われて失敗
17 ゼネラル・エレクトリック プレディックス 顧客の準備が整わず悪循環に突入して失敗
18 アップル ニュートン 主要事業の不調で無理な勝負を迫られ失敗
19 モトローラほか イリジウム 「課題の賞味期限」が見極め困難に陥って失敗
20 トヨタ自動車 パブリカ 高度経済成長期のスピードについて行けず失敗

おわりに

感想とあらまし

 感想を織り交ぜながら、あらましを語らせて頂くと・・・

 はじめにで、本書の狙いや定義などを語っている。
 ネガティブリスト型の学習(やってはいけない)である。他人の失敗を学び、同じ失敗は繰り返さない事・・・しかし、本書はそこにとどまらず、紹介される多くの企業が失敗を糧とし、巻き返して行く様を描いて読者に行く道を示して行く。よく言われることだが、失敗は成功の母である。
 まず、「失敗」について、実はあいまいな概念なので、一応定義をしているが、同時にそこにこだわらず読むように匂わせている。

 アマゾンのファイアフォンは、小生はすっかり記憶の外だった・・・あったことは覚えているが・・・掌のバーチャル・ショールームを目指したが失敗した。消費者にとっては、あればいい程度の機能に対して、電池の持ち時間や通信料など苦痛を伴った・・・と「ユーザー視点」を軽視した失敗と分析している。そして、アマゾンは<現在と未来><ユーザーと自社>と云う対立概念の<バランス感覚>と云う複雑な経営の本質をファイヤフォンで学び取り、この失敗に挫けずにアマゾンエコーなどの商品を出す姿勢は「言語化しにくいバランスのとり方」を実践したと見えなくもないと綴っています。

 フォードのエドセルと云う車を小生は知りませんでした。
 この車は、廉価車・入門車を作っていたフォードが中級車のラインナップがなかったために、顧客に他社へ乗り換えられていた為、魅力的な中級車を創設したものです。
 意気込みは素晴らしく、前代未聞の資本を大量投入し、フォードの前社長の名前を付けたほどです。
 ユニークデザイン、そして当時としては画期的なボタン操作・・・。
 しかし、売れませんでした。初期に不具合が発生したことも、雑誌に酷評されたことも影響しました。「正しいことを正しくやり遂げた」・・・しかし、そこに顧客の事を考え続けているつもりでも社内の事しか目が向かなかった・・・・そして、アイアコッカによれば、「我々は方針を180°転換した」・・・そして、フォードの大躍進につながるのです・・・・
 ・・・っと、本では続けられるのですが、このあとのフォードの社内は、映画「フォードvsフェラーリ」で描かれています。肥大化した社内・・・意見書を社長に届けるのに数十か所のチェックが必要で、意見書より本人の方が先に社長につくという肥大化企業の嫌味なシーンも描かれています(この映画、フェラーリにバカにされたフォードがレースで仕返しするという単純明快なメインストリームなのですが、ところどころで肥大化した企業の小回りのなさや、社長へ自動車の価値をあらためて気付かせたり、成功へどんなステップが必要かなど、細かいところも描かれています・・・単純明快な作品かと思って見だしたのですが、なかなかどうして)。


 あとは、イリジウムをご紹介したいと思います。この本の中では唯一失敗に終わるお話です。
 イリジウムは、携帯電話会社のモトローラーが仕掛けた衛星携帯電話です。
 専用の低軌道の通信衛星を77基打ち上げて全地球をカバーし、携帯電話の圏外解消を目指しました。77基から原子番号77番のイリジウムにあやかって命名。
 しかし、専用携帯電話で通信しますが、この携帯がとても重く不評。
 そして何より、開発期間中に携帯電話会社が圏外解消を目指しアンテナを充実させたため、圏外が解消。そして、衛星を捕まえるのに開けたところに出なければならないなど、使い勝手が悪く、通信料金も高かったため、結局失敗に終わるのです。
 この章は大きな時流による力学を特集していますが、このイリジウムは、開発期間の期間中に携帯電話の情勢が変わったなど、大きな流れに対応できなかった為に、失敗となる事例が挙げられています。
 現在のスターリンクの活躍を見れば、構想実現が早すぎたとも言えます。

おしまい

 本書は、本当に大きな失敗を取り上げている。
 今、失敗に苦しんでいる人に、きっと力を与えてくれると思います。
 何かに挑戦して、うまくいっていない現在進行形の人にも、会社の上司に怒られて悩んでいる人にも、おすすめしたい一冊です。


関連リンク

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関係外部リンク
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 Fire Phone – Wikipedia
 エドセル – Wikipedia
 カンザス計画 – Wikipedia(ニューコーク関連)
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 Windows Phone – Wikipedia
 Wii U – Wikipedia
 NOTTV – Wikipedia
 ナイキ – Wikipedia(タイガーウッズとの契約がちょっとだけあり)
 HD DVD – Wikipedia
 ドリームキャスト – Wikipedia
 セブン・ペイ – Wikipedia
 aibo – Wikipedia
 ネットフリックス (企業) – Wikipedia
 ルノーコリア自動車 – Wikipedia
 ゼネラル・エレクトリック – Wikipedia(プレディックスに関する直接の記述はありません)
 Apple Newton – Wikipedia
 イリジウムコミュニケーションズ – Wikipedia
 トヨタ・パブリカ – Wikipedia

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