JAL123便事故に興味を持たれた方★★★★★
陰謀説にちょっとでも疑問に思われた方★★★★★
はじめに
単独機としては世界最大の航空機事故、JAL123便墜落事故。540名の犠牲者と4名の生存者。すでに墜落してから40年余りが経過している。正式な事故調査報告書が出ているが、なにか生存者の証言と食い違いがあるように思われ、すっきりしない。同じように思われる方はたくさんおり、様々な著作や動画が作られており、独自の事故原因に迫っているものも多い。
本書の著者、米田憲司さんは、墜落後2日目の事故現場に行って直接取材して、そのあとも新聞記事を書いていた人だ。事故後は、しばらくJAL123便から離れていたようだが、10年後に元アメリカ空軍のC-130の搭乗員でいち早く現場に駆け付けたアントヌッチ元大尉の手記が発表されると、事故を再び追いかけだした。そして、関係者に取材を重ね、前著「御巣鷹の謎を追う 日航123便事故20年」を記す。そして、本書は前著で、まだ未解決だった部分への継続取材の結果を記している。
しかし、本書で最初から振り返っているため、ところどころ前著ではとの記載があるが、前著を読まずに本書だけでも事故の全容を掴むことができる。
正直言うと、著者は赤旗記者なので、内容に偏りがあるのではないかと少々不安で読み始めたのだが、全然そのようなことはなかった。かえって、記者としてのプロ意識が前面に出ていて、事実を偏りなく伝えることに苦心しているのが伺える。現場を見る。直接、話を聞く。時系列にまとめる。そして何より、地図が描けることである。
本書には随所に手書き地図が描かれている。また、本人が語っているように、事故現場の取材に向かう際に5万分の一の地図を買い求め、地図によって行動したことが他社より抜きんでた要因となっている。この本でも、記載する内容の地形図を描きながら要所を押えながら全体をバランスよくまとめているように思う。
目次
はじめに
序章 日航123便の軌跡 日航123便墜落現場
第一章 日航機事故と墜落現場取材
第二章 米アントヌッチ証言と自衛隊の捜索救援活動
第三章 ボイスレコーダーの事故調分析に疑義
第四章 事故調査報告書と米調査団、日乗連の対応と見解
第五章 事故調査資料廃棄と内部告発
第六章 垂直尾翼の歪でダイバージェンス発生
あとがき
陰謀論の口火
あらましを書こうと思ったが、内容が多岐にわたるので、ちょっとやめておくが、特筆できる点を挙げておきたいと思う。
救援隊が現場に入る前にいた人々
本書は、JAL123便の陰謀論を憤る形で書かれているのだが、本意とは別かもしれないが、陰謀論が参照する内容が描かれている。1つが、救援隊が現場に入る前にすでにいた人々である。
現場での宿泊を、取材途中に出会った民家に転がり込むことになるのだが、この民家のご主人(息子)?がたまたま上野村猟友会の一員であった。ご主人はいち早く現場に入ることになるのだが、すでに事故現場にいた方々の事を教えてもらい、記載されている。
13日10時20分ごろに現場入りしたが、既に
・立命館大学の深井純一教授一行(女性一人を含む学生ら4名)
・(おそらくこの女性が)現場で立ち尽くして泣いていた
・これとは別にもう一人、白い帽子をかぶった若い男性が会釈をしながらスゲノ沢のほうに降りて行った。
ヘリコプターで何かを吊り上げる
ご主人はいち早く現場に到着した時に、自衛隊のヘリコプターが何かを吊り上げているのを目撃している。
群馬中ノ沢奥地の怪
高崎に住むジャーナリストの友人の話として、事項当日の夕方から夜半にかけて、バイクで現地に向かったが、
・22時ごろ、仲の沢あたりで、サーチライトを付けたヘリが飛行しており、地上には背広姿のお得に利を目撃している。青白い信号弾が上がったと思うと、似たりは2000ccクラスの乗用車で走り去った。
・広域消防上野村出張所資料の捜索日誌には、13日1:30頃と3:26に、品塩山西側の中の沢で、自衛隊ヘリから群馬県警へサーチライトで3回点滅合図が行われている。捜索隊は県警から現場発見の合図と聞いたという。しかし、捜索隊は位置関係などから不思議に思ったとの事。
小生の感銘を受けた点・感想
本書を読んでいて、まず、上述した通り、地図や時系列整理など、きっちりと情報ををまとめられている点に興味をひかれた。
また、ジャーナリスト(報道記者)としての心得のようなものが随所ににじみ出ている。事故現場へ翌日向かった先発隊が他の報道陣と合流した際に、他社の記者から一生に一度出会うかどうかの大きな出来事として大事にするように言われたことなどを紹介している。
大きな転換点となるアントヌッチ証言についても、鵜吞みにすることなく、日本にF-4戦闘機がないなどと事実との相違点を3つほど挙げてから、内容を掘り下げている点も好感が持てる。
少し物足りないのは、事故原因究明についてである。もちろん、その手の専門家ではないので、技術論を展開したりはしないのだが・・・。本書の原因究明のベースは、日乗連の委員会の調査結果で、これに、本書一番の新事実として、事故調の関係者(の関係者)が当時は口にできなかった事故原因の仮説を、改めて取材に応じ、第六章として記述している。
本書は、事故報告書の圧力隔壁破壊説(不適切修理による疲労破壊説)が、生存者証言と合致しない事を重視して、数々の事実から事故調査報告書が日米の刑事告発者が出ない様にまとめられてのではないかと推論している。
そして、事故調査として、主に日本航空乗務員組合(日乗組)の調査・推論を取材してゆく。
そして、最後に専門家の推論である、垂直尾翼のリベットが長期間使用により緩んだことが引き金になり、垂直尾翼倒壊につながったとする(分類としては垂直尾翼先行破壊説?)を紹介している・・・が、なんかあっさりしすぎていて、ちょっと残念だった。
JAL123便の中では読みやすいし、プロの取材による内容で、矛盾も少ないように感じる。著者の集大成的な意味合いもあると思う。おそらく、読者の事を考えて諄くない書き口に仕上げてあると思う。
読みづらいと言えば、序章と第一章の最初の部分が重複しているような感じで、なんか読みづらさを感じた。同様の方は第二章から読み進めて、改めて第一章を読むと、うなづけて良いと思う。小生はそのように読みました。
陰謀論各説の非合理性に疑問を抱きつつもJAL123便の全容を掴みたい方/あたらめて事故からの40年を振り返りたい方には、非常に良い量著だと思う。おススメの一冊である。
(本書に倣って、最後で恐縮ですが本事故でお亡くなりになられた方のご冥福をお祈り致します)
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関係外部リンク
日本航空123便墜落事故 – Wikipedia
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日本航空123便の御巣鷹山墜落事故に係る航空事故調査報告書についての解説
事故調査報告書へのリンク、およびその解説が貼付けされているページです。
米田 憲司 プロフィール | 文春オンライン
公式ブログ青山透子&吉備素子&真相究明の仲間たち
青山透子 – Wikipedia
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