前々回は工場の四捨五入として、JIS丸めを、前回は図面の桁数の読み方・・・をご紹介致しました。今回は計測値の丸め(四捨五入)です。
一般的な計測器の選び方として測定する指定有効桁数より一桁多い読み取り精度を持つものを選定(やむを得ない場合は1/3~1/4以上の精度を選定)します。そして、一般的にはJIS丸めをして要求精度(有効桁数)の測定値として決定します。その丸めをした測定値を要求値と比較し、合否を決定します。
えっ?丸め(四捨五入)していいの?・・・って、方もいらっしゃるかもしれません(小生もそうでした)。直読値でしょ?計測器の精度を差し引いて内側で決定では?
いつものごとく、結論を先書きすると、図面など要求値が記載されている諸要求(仕様・注記・スペック等々)を確認して決定してください。なかには、細かく計測器が指定されていて直読値で決定せよ・・・なんて、書いてあるかもしれません。計測まで長い道のりになることもあります。例えば、図面→図面規定→会社スペック(の参照欄)→会社の規則のトップページ(目次)→計測関係の諸規則の該当を選ぶ・・・なんてのもあるかもしれません。
測った(直読した)計測値の考え方

いろいろな考え方がありますが・・・。
以前、お世話になった検査員に聞いた話では、上記の一般的な流れ(計測器の選定→計測値の丸め→合否)を説明されたうえで、設計部門は出来ない図面は書かないとされ(例えば測定できる計測器等がない精度は要求しない)、設計者は現場でJIS丸めされていることを知っているので、特記がない限り丸めて判定しているとの事。へー・・・なんかわかったような?わからないような?
知り合いの設計者と雑談の際に話題にしましたが、結構な割合(大半といってもいい割合)で、丸め判定を知ってました。中には、激怒する方もいらっしゃいましたが・・・。だからと言って、丸めまで考えて図面引いてないけどねぇ~・・・っと、言ってる方も。その辺は検査部門のお考えでしょ?っとも。
小生の知っている範囲ですが、上記で書いた長い道のりを経てたどり着いた検査の一般要領書などには、JIS Z8401だったり、それに相当する四捨五入方法が書いてあったり、呼び出されていることが多いと思います。そして、直読値を規定値の内側で判定する様に書いてあることは稀かと・・・。
(蛇足ですが、直読値には下記の測定誤差が含まれていますので、実際の寸法は測定誤差分大きい(外側)の可能性があります)
小生、当初、製造会社の方に教えてもらったので、完成後の自主確認の時に、規定値から計測誤差を差し引いての内側に入るように教わりました(→誰が図っても、計測器による誤差が膨らんでも、それでも合格する様に内側で作れ!)・・・ので、ちょっと驚きだったのですが・・・。
計測誤差
ちょっと雑線しますが・・・(書き間違いですけど、言い得て妙)。
計測値には、計測誤差が内包されています。
代表的なのは、それぞれの計器の単独での誤差(個性)や、計測者特有の誤差など・・・。
計測器単独の誤差は、例えば精密機械を取り扱っているところでは、年に一回の計測器の検定(校正、較正)などが義務付けられていて、マスターツールとの相違などを測定しているところもあると思いますが、検定で規定値内なら計測値を修正したりすることはしていない事が多いと思います。
個人差は、小生が典型なのですが、小生はパワー・メジャメント(単に力を入れすぎで計っているだけ・・・)で、例えば円筒の外径をノギスで測るときは、人より小さめの計測値が出ます(円筒を潰してます)。たまに、年に一回ぐらい検査員が同じものを測って品評会をやっているところもありますが、人との違いが解ったところで、計測ごとに個人差何ミリを修正・・・などをやっているところは聞いたことがありません。
(先のお世話になった検査員は、これらの誤差も図面には反映されていると言ってましたが・・・)
ただ、製造部門でこれらの計測誤差を見越して、規定値より厳しい範囲での制作を指定しているところもあります。ただ、規定値が上限下限とも狭くなってしまい・・・・ひどいと15cmとか、幅がなくなっているところもあります。
加えての脱線ネタで恐縮ですが、小生が教わった先生で計測の名人がいらっしゃいます(ました)。自分で旋盤で削った後に、例えば15cmの円筒を削り出した後に、自分でノギスで径を測るのですが、何度計っても15cm(15.00)ぴったりなのです。測り方がトリックだと生徒が指摘すると、マイクロメータを取り出して15.000を測りました。それから随分と月日が経ちましたが、たまに、こうゆう人が欲しくなることはあります。
なので
今まで説明した図面の寸法での丸めや、計測値の丸めを考慮すると、かなり幅広い対応・・・幅広いと言っても小数点以下の攻防ですが・・・。
なお、精密機器を取り扱うところ等では、小生が教育されたように内側で判定する様に取り決めているところもあるようです。
雑談
特注した製品を受け取る際に、雑談ネタとしてこれらの精度について話題にしてみてはいかがでしょうか?相手が冷や汗をかいている様なら、受け取った製品を持ち直しても?いいかもしれません(余計なお世話ですが、JIS Z8401の慣例適用が焦点になることがあります・・・が、無用な心配はしなくてよい様に、契約時にちゃんと確認しておきましょう・・・その2でご紹介した教育資料なんてのも、いい手ですよ)。
なお、いつもの通りですが、本記事の内容は少々脚色されておりますので、ご注意ください/お許しください。
関連リンク
関係する当ブログの記事です。
←JIS丸めと図面有効数字・計測値丸め・・・その2 工場での図面の有効数字の取り扱い
JIS丸めと図面有効数字・計測値丸め・・・その1 工場での四捨五入
→JIS丸め・・・目測値の丸め・・・目盛線で丸めてはいけない?
JIS丸め・・・EXECL ワークシート関数のみで丸める
見えないものが見える3!発見能力・・・視力以外の眼力・・・工場で
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関係リンク
寸法公差の桁数で有効数字が違います。 – 株式会社創検|三次元測定機プログラム開発・受託測定
・・・測定値の取り扱いをご参照ください。
技術者のための数値の取り扱い方 – 組み込みすと
・・・こちらの方の説明は、小生の教育された方になります。測定値の取り扱いが上記の方と異なります。厳しい。・・・計測器は公差の1/3以下の精度
計測器選定の主なポイントとは? | 株式会社竹中
・・・計測器は公差の1/10以下の精度
JISC 日本産業標準調査会
日本産業規格の簡易閲覧
JISZ8401:2019 数値の丸め方
2026/5/25 計測誤差を追記しました。
2026/5/29 計測値の図を追加
2026/6/ 4 計測値の図の誤記訂正(9.89→9.895)

