人生を積極果敢に生きるべきか、それとも悠々と余裕を持って送るべきか? 改善 kaizenのススメ 戦争から学ぶ勝利の秘訣24条 を読み直す9

人生を積極果敢に生きるべきか、それとも悠々と余裕を持って送るべきか? 改善 kaizenのススメ 戦争から学ぶ勝利の秘訣24条 を読み直す9 積極果敢派 栗田中将 泰然自若派スプルーアンス大将 生産

 1998年~1999年に連載され、2000年に刊行された「改善のススメ」。主に、太平洋戦争の日本軍を現代からから見て、一見馬鹿馬鹿しい失敗事例などを挙げて、改善事例のヒントを示した三野 正洋さんの名著だが、現在ではなかなか手に入り辛いらしい。
 いつもの当ブログなら、一冊の書評で一記事なのだが、折角、楽しい?内容なのでエピソードごとにご紹介したい。今回は積極果敢派 栗田中将と泰然自若派スプルーアンス大将の比較です。
 本項での栗田中将のレイテ湾前での反転の考察は、本書で最大の見どころとの評価もあります。
(本記事のイラストなどはAI(ChatGPT)に描いて頂きました)

戦場における指揮官の生き方

 指揮官の生き方と銘打っているが、指揮の在り方と言い換えても良いと思う。
 著者も答えが出ていないので、読者に一緒に考えて欲しいとのスタンスで記述が進む。
 重要な決断を迫られる時、その対応は人によってさまざまだ。

・昼夜を問わず部下を奮い立たせ、自分も先頭に立って駆け回るタイプ
・あるいは組織が危機に直面しても、悠々焦らずマイペースを崩さないタイプ
 」
この2つだけ見ても、どちらが良いだろうか?

積極果敢派 栗田中将と謎の反転

 栗田中将と言えば、太平洋戦争中の捷一号作戦(フィリピン沖海戦・レイテ沖海戦)の栗田艦隊(戦艦 大和・武蔵・長門などを有する)が、目的地であるレイテ湾の直前での反転が有名である。
 フィリピン沖海戦は、日本海軍最大の作戦と言っても過言ではなく、ほとんどの主力戦艦が投入され、フィリピンを南西側・西側からレイテ湾の上陸部隊に迫り壊滅させる作戦で、日本海軍には珍しく艦隊決戦を避けるため、フィリピン北側から泣けなしの空母を接近させて敵艦隊の注目を引き付けるおとり作戦も実施した。
 南西側から接近した艦隊は壊滅状態だったが、西側から接近した栗田艦隊は目的地レイテ湾までもうすぐのところまで近付いていた(戦艦武蔵を失いつつあるものの、他の戦艦は作戦可能だった)。しかし、レイテ湾まであと少しのところで、突入を中止し、謎の反転を行う。戦後のアメリカ史においても、「栗田長官の判断により、アメリカ軍は大きな危機を脱した」と書かれるほどである。
 栗田中将の謎の反転の理由は、戦後も本人が語らなかったため、謎に包まれている。

 本書では、栗田中将の疲労蓄積による判断ミスと考察している。
 最初の乗艦「愛宕」が沈められてしまい、海水につかり泳いで救い出され、戦艦大和に移り、休憩を取らず一晩中指揮を執っている。いかに強靭な意志を持ち続けても、疲労が蓄積し、判断を間違ったと考察している。
 ちなみに、接近前は周囲に突入を反対されながら強行し、突入が近づいたら反転を決意して周囲を驚かしている。

泰然自若派スプルーアンス大将

 対照的なのが、スプルーアンス大将だ。
 ミッドウェー海戦でも指揮を執り、史上最大の空母同士の戦いになったマリアナ沖海戦も指揮を執り、硫黄島攻略戦でも海軍側の指揮を取った。

 そして、どんな時でも自分のペースを崩さない合理主義者としても有名で、どんな時でも(日米決戦の最中でも)昼寝をした。どんな時でも昼寝ができるように鍛えていたとも伝わり、戦闘中でも攻撃の手が休まると自室に入って昼寝をしたと伝わる。指揮官というものは、常に肉体も精神も最良の状態を保たねばならないが持論であった。
 STAN(スプルーアンス昼寝中)という略語ができるぐらいだ。最初のうちは、周辺は不満であったが、勝利に次ぐ勝利をかさねてゆくことで、いつしか悪口はなくなった。

教訓

 いつもの様な教訓を見出すのだが、どちらがいいとの結論は下していない。
 しかし、ここではスプルーアンス大将をから学ぶ。「ゼロ戦の光と影」でも語られたように、やはりどのような場合でも余裕が必要であろう。

小生の考え

 栗田長官反転の謎は、小生が小学生の時に読んで、あれやこれや考えをめぐらしたものだが、著者は有力な説として体力の限界を挙げている。
 積極果敢は周囲に受け入れられやすいが、一方で泰然自若は最初も受け入れられないし、最後まで受け入れられない事が多い(手抜きと評価されやすい)。泰然自若を見極めるのは非常に難しい。冷静に成果を分析する必要がある。

 やはり、余裕が必要ということで「非まじめのすすめ」無駄ー余裕ーゆとりを思い出す。適度なゆとりが重要だと感じる。
 最後にふさわしくないが、栗田長官の頑張りを読んで、本田宗一郎さんと近所のこうばの社長さんを思い出す。本田宗一郎さんがなんかあった時に何日も徹夜して製品改良を行い危機を乗り越えた話は有名だ。たぶん、近所の社長さんがこの話を聞いたのだろう。自宅の一部屋で数人の従業員で切り盛りしていた社長が、近所に一軒家を借り従業員を増やして増産に踏み切った。しばらくして、何か問題にぶつかった様だが、何日も徹夜して頑張った様だが、倒れて救急車で運ばれ、やがて倒産した・・・っと、子供のころうわさで聞いた。
 持続可能な頑張りで頑張りたい。
(きょうび、従業員には頑張ることなく成果が上がるように業務設計をしなければ・・・頑張りましょう)

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 三野正洋 – Wikipedia
  三野正洋 | 著者プロフィール | 新潮社
 改善 – Wikipedia

 栗田健男 – Wikipedia
 レイモンド・スプルーアンス – Wikipedia

 捷号作戦 – Wikipedia
 レイテ沖海戦 – Wikipedia
 レイテ島の戦い – Wikipedia

 大和 (戦艦) – Wikipedia
 武蔵 (戦艦) – Wikipedia

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