もっとも改善が著しかった軍事大国 ノモンハンと独ソ戦 改善 kaizenのススメ 戦争から学ぶ勝利の秘訣24条 を読み直す6

改善 kaizenのススメ 戦争から学ぶ勝利の秘訣24条 を読み直す 生産

 1998年~1999年に連載され、2000年に刊行された「改善のススメ」。主に、太平洋戦争の日本軍を現代からから見て、一見馬鹿馬鹿しい失敗事例などを挙げて、改善事例のヒントを示した三野 正洋さんの名著だが、現在ではなかなか手に入り辛いらしい。
 いつもの当ブログなら、一冊の書評で一記事なのだが、折角、楽しい?内容なのでエピソードごとにご紹介したい。今回は改善のスピードと要望のキャッチアップについてです。

もっとも改善が著しかった軍事大国 ソ連

 第二次世界大戦中に兵器の改善・改良のスピードが速かったのは、どこの国だろうか?
 アメリカ?イギリス?
 イギリス陸軍は、きわめて保守的で、世界で初めて戦車(タンク)を作り上げた国だが、実は機関銃などの装備にも消極的で、業を煮やした海軍が陸上戦艦・ランドシップとして誕生させたくらいである。
 著者は、第二次世界大戦中に兵器の改善・改良のスピードが飛びぬけていたのは、ソ連(現ロシア)どと言います。
 これは、大戦に先立つ日本とのノモンハン事変とドイツ軍との戦いに象徴されます。

ノモンハン事変でのソ連戦闘機隊

 1939年、満州とモンゴル国境付近で日本陸軍・満州国軍とソ連軍・モンゴル軍による数万人規模が激突する国境紛争が勃発します。
 地上戦も激しかったのですが、同時に航空戦も激化しました。
 初期は、日本側の九七式戦闘機と訓練された乗員がソ連側の戦闘機を圧倒しました。キルレシオ(撃墜した数と撃墜された数の比率)は、3:1と3倍を誇りました。
 しかし、ソ連側は自軍の損害の大きさに驚き、1か月しないうちに次々と手を打ちます。
 まずは、兵力増強(戦闘機の数を4倍に増強)
 新型戦闘機の投入(ポリカルプE15を最新型のE16へ)
 パイロットの交代制の採用(ほぼ1か月で交代し、疲労を軽減)
そして、戦闘機自体もパイロットたちからの改善要求を直ちに取り入れ、短時間のうちに改良してゆきました。そして、これらの解消のいくつかは功を奏し、戦力を向上させてゆきます。

 一方、日本側は緒戦の勝利に酔いしれ、戦力を増強することもなく、またパイロットを後退させることもありませんでした。現地は高温多湿のうえ、風土病などもあり、生活条件は悪く、パイロットは疲弊してゆきます。加えて、改善要求を良しとしない体質も相まって、次第に犠牲者が増えて行きます。
 海軍航空隊の活躍と対照的に、陸軍航空隊の活躍が少なかったのは、このノモンハン事変でベテランパイロットが大量に失われた為だと言われています。

ドイツとソ連戦争での戦車の威力向上

 1941年6月、突然ドイツ軍はソ連に侵攻した。独ソ戦は、ウクライナや路地あの大平原地帯であったため、戦車や装甲車などの先頭車両が主役となり、ものすごい勢いで進化を遂げる。アメリカ、イギリス大きく後れを取る形になる。
 そして、意見動きが鈍い印象のなるソ連であるが、ノモンハン事変の戦闘機の改良のように、ソ連は戦車を目覚ましく改良を加えて行く。ソ連の技術陣は、前線からの改善要求をできる限り迅速に応じた。そして、1943年夏にはロジーナ(祖国)と愛称を与えられる傑作戦車T34/85型戦車が投入され威力を発揮した。
 設計者と運用者の連絡がスムースでないと、改善・改良、そして良い製品は生まれない。

改善要求とは弱音?

 一方で日本と言えば、ノモンハン事変の際の戦車は八九式、九七式が主力で、これらは対歩兵用戦車で、ソ連軍の対戦車用戦車に徹底的に痛めつけられた。
 しかし、散々痛い目にあっていながら、対策が取られないまま(対策を何もせず)太平洋戦争に突入している(馬力向上などの小改良にとどまる)。
 日本陸軍は、ソ連の改善・改良・新型投入とは対照的なくらいであった。

教訓

 組織は、まず現場から改善要求が出やすい様に環境を整える。そして、改善要求を迅速に対応することが重要である。

小生の感想

 ノモンハン事変は、太平洋戦争中の台湾沖航空戦と同じ様に、日本では知られていない戦闘である。これは、負け続けたから秘匿されたこともあろう。しかし、秘匿以上に反省もなければ改良もない。戦車隊がやられたりしたことは知っていたが、この時に航空兵力が削がれ、太平洋戦争で海軍と比較して(と、言うより中国本土奥地まで海軍が爆撃していた)目覚ましい活躍が見られないのも、ノモンハン事変が関係していたとは知らなかった。
 ひるがえって現代、現場から改善提案が出しやすい環境を整えることも重要だ(時にとんでもない提案がされるのも事実だが・・・)。そして、いち早く提案をかみ砕き、関係部門と調整し実現してゆく・・・と、書くのは簡単だが、意外と大変なのだ・・・しかも、改善提案された人は評価されるが、実現に尽力した人は評価されないこともある。だが、革新につながることも事実なので・・・お互い頑張りましょう。

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関係リンク
 三野正洋 – Wikipedia
  三野正洋 | 著者プロフィール | 新潮社
 改善 – Wikipedia

 ノモンハン事件 – Wikipedia
 ・・・ものすごく読みごたえがあります。
 独ソ戦 – Wikipedia
 九七式戦闘機 – Wikipedia
 I-15 (航空機) – Wikipedia
 I-16 (航空機) – Wikipedia

 T-34 – Wikipedia
 八九式中戦車 – Wikipedia
 九七式中戦車 – Wikipedia 

 ソビエト連邦 – Wikipedia
 
 
 


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