液体燃料(石油)の不足 専門家への期待・誤算・・・ 改善 kaizenのススメ 戦争から学ぶ勝利の秘訣24条 を読み直す4

改善 kaizenのススメ 戦争から学ぶ勝利の秘訣24条 を読み直す 生産

 1998年~1999年に連載され、2000年に刊行された「改善のススメ」。主に、太平洋戦争の日本軍を現代からから見て、一見馬鹿馬鹿しい失敗事例などを挙げて、改善事例のヒントを示した三野 正洋さんの名著だが、現在ではなかなか手に入り辛いらしい。
 いつもの当ブログなら、一冊の書評で一記事なのだが、折角、楽しい?内容なのでエピソードごとにご紹介したい。今回は専門家への期待です。

液体燃料(石油)の不足

 第二次世界大戦で枢軸国側(ドイツ・イタリア・日本)で、最初から最後まで不足していたもの、石油である。
 軍艦・航空機・戦車・トラック・輸送船・・・近代戦には欠かせない石油。なかでもイタリアは悲惨で、新鋭の戦艦三隻が全く動けなくなってしまった程だ。
 連合国側は、当然、承知していて、石油関連施設が建設されると多少危険を冒しても攻撃していた。枢軸国側も、あらかじめ石油が不足する事態は予想していた。それでは、なぜ戦争に踏み切ったのだろうか?

代替燃料と専門家


 枢軸国側も、手をこまねいていた訳ではない。
 石油に代わるエネルギー源を探していた。
 当時、ドイツにも日本にも、石炭は豊富にあった。
 そして、石油不足の対策として用意されたのが「石炭の液化技術」であった。
 戦前、石炭の液化技術は飛躍的に進歩を遂げつつあり、石油関連の専門家は、「数年のうちに画期的な液化技術が実用化されるであろう」と見通しを発表していた。
 (詳しくは本書によるが)、結局、戦中も日本は消費量の0.3%、ドイツでも2.2%しか生産できなかった。
 枢軸国が敗北した最大の原因として、石油不足が挙げられるが、その裏で専門家の石炭液化技術の予測が外れたことは大きい。

 しかし、著者はいう。予測を外した民間の専門家ばかり責めるわけにはいかない。ことに日本は、近代戦に前近代的な武器で立ち向かっていた。軍人が驚くほど本質を見落としていた事実がわかる。
 ・航空戦に移行することを予知できず巨大戦艦を建造した海軍
 ・戦車などの機動戦など考えもせず、歩兵中心の編成にこだわり続けた陸軍
  特に前回紹介した運転できる軍人の少なさは致命的・・・
 ・そして補給軽視

専門家の予測

 現代でも、<専門家>にもっともらしい意見を展開されると、容易に納得してしまう。しかし、現代でも、専門家の予測は、時に外れる。

教訓

 そして、教訓である
・専門家の意見は、耳を傾けるべきだが、決して絶対視してはならない
・未来予測に関しては、専門家も門外漢も大同小異と考えよう
・微視的な見方には専門家の意見はある程度尊重すべき。ただ、巨視的な見方では専門家の存在意義は小さいと云う現実を押えること

 すみません。本記事は、本書の何分の一も表現できていませんので、詳しくは本書をご参照ください。

小生の感想

 この記事を書いているのは、2026年でホルムズ海峡が閉鎖されてりして、石油に感心が高い時期である。
 第二次世界大戦が、石油をめぐる戦争であったことは知っていたが、戦争に突入する背景に石炭の液化技術が大きく影を落としていたことを、本書で初めて知った。
 そういえば、水素製造などは次世代クリーンエネルギーとして話題に挙がるが、石炭の液化技術は上がらない。その背景にも戦前戦中の石炭液化技術の失敗が背景があるのかもしれない・・・と思ったりする。

 そして、液化技術に限らず「専門家」の意見を聞く際には本教訓を生かして行きたいと思う。ちなみに、本ブログも専門ブログを目指しているのではあるが・・・。

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関係リンク
 三野正洋 – Wikipedia
  三野正洋 | 著者プロフィール | 新潮社
 改善 – Wikipedia

 石炭液化 – Wikipedia
 合成ガス – Wikipedia
 石油 – Wikipedia

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